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EMPEROR東京公演 ~SIGH編~

 昨日(7月17日)、EMPERORの東京公演が行われた。おれも当然のごとく観に行った。
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 午前中に仕事を終わらせるはずがちょっとズレこむ。首都高でおきまりの渋滞につかまり、会場のO-EASTに到着したのは17時を若干回ったあたり。開場は18時なのだが、先行の物販が17時から始まるというアナウンスを聞いていたために、遅くとも16時30分までに到着しておきたかったものの、この時間の到着では当然長蛇の列が形成されたあと。 とりあえず並んだものの、先行の物販が終了する17時45分までに売り場に辿りつけず。
 仕方なく、向かいのコンビニでトイレを借りることにするが、そこもまた長蛇の列。店内の客もみんな黒尽くめの異様な空間。ブラックメタルである。ここのトイレはなんとオートロック式。防犯のため、店員が遠隔で解錠する方式となっている。すなわち、前の方の用が済んだら、ドアを閉めないようにしてトイレに入らなければならない。列の途中うっかり用が済んだ方がトイレのドアを閉めてしまったため、ドアが開かず、次の人がいちいちレジまで行って解錠するようにお願いしに行くというケースも見られた。勿論トイレの内側からは施錠解錠はできるので、用を足している間はドアを閉めても問題ないようにはなっている。このようなことをしないとコンビニのトイレなどというのは犯罪行為やそれに類するようなことが容易に行われてしまう空間なのだろう。田舎者にとっては結構なカルチャーショックである。放射能渦巻く世紀末クライムシティのいわき市(勿論、死ぬほど大げさに話を盛っているので本気にしないように)でさえ、こんな防犯仕様のトイレがあるコンビニはない。さすが渋谷の道玄坂は怖かとこね、恐ろしかばい。結局は誤ってオートロックを作動させるようなこともなく、スムーズに用を足し、コンビニを後にした。

 会場に戻ると既に整理番号の呼び出しが始まっていたが、おれは800番代だったのでまだまだ順番は後であった。整理番号がそれほど前の方じゃなかったため、この日は後方の方でゆっくり観ようと思っていた。で、いざ入場してみると、みんな物販の方に行っており、フロアーにはそれほど人がいなかったため、急遽予定を変更してフロアの前の方に陣取る。
 今日のオープニングアクトはSIGH。是非とも新ギタリストの“KADENZZA”YOU OSHIMAこと大島雄一さんを観ておきたいと思っていたので、ギターアンプの斜め前のマイクのところに身をおいた。すでにSIGHのライヴでは定番のドクロと燭台を置いた祭壇のようなテーブルが用意されている。
 大島さんに関しては、昔BURRN!の輸入盤レヴューでKADENZZAの「INTO THE ORIENTAL PHANTASMA」が取り上げられており、『福島県いわき市在住のYOU OSHIMAなる人物のプロジェクト』と書かれ興味を惹かれた。その後しばらくして東京に行った際に、西新宿の「GOLD」(今は多分無くなってるのかな?)でこのアルバムを見つけて、購入。帰宅後に聴いたら凄いのなんの。「こんな人がこんな田舎のお隣の市に住んでるのか-」と当時はバンドなどをやってないし、ギターも殆ど部屋の飾りと化していた聴き専のおれは、プレイヤーではなく単純に音楽鑑賞の対象として大島さんに度肝を抜かされていたのであった。バンド活動を始めてからも、いわきのバンド関係者に大島さんのことを訊いてみたり、震災の時に安否情報を探しまくったりしたわけだが、特に情報を得られることはなかった。いつぞやSIGHの英語版ツイッターで「我々はKADENZZAを忘れてはいけない」みたいなつぶやきがあって、「おや?」と思ったのだが、後日SIGHの新作にゲスト参加することが発表され、びっくり仰天。大島さんが消息不明の際どうなっていたかの衝撃的な事実が明らかになったりしたのだが、これも含め、KADENZZAに関しては後日機会があれば改めて記事にしたい。
 そして開演時間を待つが、ぼっち参戦(たいがい東京にメタルのライヴを観に行くときはぼっちにならざるを得ないのだが)のため、非常に退屈である。タブレットは車の中に置き忘れてしまったし、デジカメを持ってきてはいたものの、最近のクラブギグでは珍しく撮影禁止のアナウンスもされていたのでデジカメはポーチから取り出すことはなかった。当然、撮影画像は一切なし。結局結構な人達がスマホで撮りまくってましてけど。場内のBGMはキング・ダイアモンドの曲ばかりかかっていたので、去年のラウドパークのドタキャンを思い出しちょっと鬱になる。開演前にSIGHの川嶋さんが現れテーブルなどのチェックを行っていると、そこかしこから「カワシマー」と声が飛んでいた。
 定刻を過ぎるとEMPERORのマネージャーが現れ、SIGHが登場する旨をコールすると、歓声が上がり後方から圧力がかかる。1stアルバムからの「A Victory Of Dakini」でおどろおどろしくライヴがスタート。1stの曲ゆえ元々はミカンニバル博士のパートがない(ライヴでは途中からミカンニバル博士が歌うパートが設けてある)ため、曲の途中からミカンニバル博士が登場。頭巾で顔を隠し、露出度の高い衣装からは妊娠して膨れ上がったお腹をさらけ出していた。先月既にSIGHのFBでその衣装の画像を見ていたため「あー、ほんとに妊婦だわ」くらいにしか思わなかったが、事前情報無しだったら結構ショッキングな姿だったかもしれない。それにしても頭隠して体隠さずって“けっこう仮面”みたいだな、などと巨匠・永井豪先生の作品名がふと思い浮かぶ。頭巾を外したミカンニバル博士は、1月にUNITで見かけた時よりは当然ながらふっくらとした顔をしていた。おれが陣取った先のマイクスタンドは実は大島さんのポジションではなくミカンニバル博士のポジションだったが、ちょっと考えれば分かったことである。とはいえ、妊婦の方の顕になったお腹なんぞ、独り身ではなかなかじっくり観る機会もないので、結果オーライ。可能性は低いが、まだ見ぬこの先自分の奥さんになる女性がいざ妊娠した時にテンパらないよう、ここで慣れておくことにした。
 お目当ての大島さんはレコーディングプロジェクトに特化していたKADENZZAではまったくライヴ活動を行なっていなかったので、おそらく正式なライヴ自体もう10年以上やっていないだろうし、今回のように1000人を超えるようなライヴは初めてだと思う(BLACK MARIA時代のライヴ活動についてはよく知らないのであくまでも憶測)ので緊張した面持ちだが、このミドルテンポの曲のリフを確実に刻んでいる。前の方とはいえ、このポジションだと足元が見えないのでどういう機材を使っているのかわからないが、アンプ(マーシャルJCM2000DSL100。おそらく持ち込みではなくO-EASTに備え付けてあるものだろう)はクリーンチャンネルで鳴らしているので、アンプではなくエフェクターで歪を作っているのだけはわかる。あとで、足元のペダルとかWEBで公開してくれないかな、などと思ってみたり。大島さんがアンプ1台4発キャビ1台で鳴らしている後ろには、おそらくというか間違いなくEMPERORが使用するであろうBLACKSTARの“3段積み”が、うず高く“2列”並んでいた。
 曲中に川嶋さんが燭台に火を灯そうとするが、なかなか火が点かない様子。四苦八苦しながら火をつけると、蠟が焦げるような臭いが鼻をつく。ミカンニバル博士と二人で分厚い聖書を模した小道具に火をつけるところもなかなかうまくいかない感じだったが、いざ火がつくと会場から歓声が上がる。曲が終わった後のMCで「これだけたくさんのお客さんがいると、酸素が薄くて火がなかなか点かない」と愚痴ると会場から笑い声が漏れる。「できればみなさん、呼吸をセーブしてほしい」などとのたまったので「それ無理ー」と野次を飛ばす。
 そのあとは現状での最新作「IN SOMNIPHOBIA」から「The Transfiguration Fear」が演奏される。「うーうーうーううっうーうー♪」というコーラスが会場の其方此方から聞こえてくるので、SIGHのファンも結構な数来ていることがわかる。サビのミカンニバル博士が歌う「Into Darkness You're Falling, Into Fire~♪」というところもしっかりと歌いたくなるとてもキャッチーな曲だ。
 そして立て続けに同アルバムからの「Purgatorium」が続く。このアルバムの1曲目と2曲目を逆に演奏する形になる。最初にこの曲を聴いたときは「え?SIGHがメロスピになっちゃった……!?」などと思ったものだ。疾走するドラムにちょっとネオクラが入ったかのようなクサいメロディ。昔からSIGH自体はメロディを重視しているバンドではあったし、シンフォニックな演出も初期から散々していたが(CRADLE OF FILTHやEMPERORがシンフォニックの要素を入れたのは先行者であるSIGHの影響だったりする)、ギターがクラシカルっていうのはあんまりなかったのではないかな、という印象があったので虚を突かれた感があったものである。特にレコーディング当時のギタリストである石川さんはそういうイメージがないので、なおさらであった。そして、いざ今回のライヴになると“KADENZZA”でクラシカルなシュレッドプレイを聴かせていた大島さんがSIGHに加入したため、これはおあつらえ向きなメンバーが加入したといえよう。中間部ではミカンニバル博士の大島さんは自分の手元よりも他のバンドメンバーの方を見てる事が多く、この展開の激しい曲調に備えている様子が見受けられた。
 そして続くは前作「SCENES FROM HELL」からやたらに勇壮なオーケストレーションで、クラシカル……ではない大正時代が舞台の昭和の日本映画のサントラみたいな、どうしてもイメージが帝都物語とか丸尾末広の憲兵のイラストを思い浮かべてしまうような「The Soul Grave」が演奏されるというよりは鳴り響いてきた。非常に日本的なメロディで、何故か思わず「はっこねの山は~天下の険~♪函谷関も~もーのなーらずぅ~♪」などと「箱根八里」を口ずさんでしまう(多分、おれだけだと思う)摩訶不思議なナンバーだ。
 そして残り3曲は更にその前のアルバム「HANGMAN'S HYMN」から「Introitus/Kyrie」「Inked In Blood」「Me-Devil」を立て続けに披露。その間にミカンニバル博士は血糊を頭からかぶって血まみれ状態。マイクもその時血糊まみれにシてしまったらしく、会場から買い取った模様。数年前はうちのバンドもしょっちゅういわきソニックのマイクスタンドを壊したりして弁償したなぁ……ソニックのスタッフには「新品になるんでありがたいっす。どんどん壊して下さい」等と言われる始末。しかしつい最近、ラーチカさんがミキサー卓に水をぶちまけたときはさすがに「これを弁償するには内臓でも売らないと……」と戦慄したが、幸いミキサーは故障せずに済み、ラーチカさんが統括責任者の新妻タツミチ氏にやんわりとした口調でありながらも辛辣な言葉選びで抗議される(怒鳴られた方がマシなくらいじわじわ効いてくるらしい)のみで済んだのは幸いであった。
 閑話休題、終盤に差し掛かって大島さんも余裕が出てきたようで、客席に向かって手を振る(と言うよりは手首をくるくる回す)ような仕草をしたり、アクションも大きくなってフロントマン然とした振る舞いになってきた。SIGHは2人のヴォーカリストである川嶋夫妻のみがフロントでアクションをし、インスト隊は3人とも定位置で黙々と演奏するバンドだったのだが、新入りの大島さんはこの2人に割って入るという事はなくとも、上手側でその存在感を積極的にアピールしているのは前任の石川さんと大きく異なる点だろう。そして、アルバムのフレーズを忠実に再現するタイプの石川さんと違い、派手なフレーズを隙あらば入れまくり、連続スウィープをかましたりするなど、オリジナルギタリストではない上に短期間のリハーサルでライヴに臨まなくてはならないところを逆手にとって、自分のオリジナリティを随所に入れ込んでいる印象があった。おれのすぐ後ろにいるガキンチョの集団が曲間で「サイ初めて見たけどギターの人かっけえし、うめえ、ライヴ終わったらCD買おうっと」などと口々に言っていたが、大島さんが参加してるアルバムはまだ完成していないので、買おうと思っても売っていないのだった(ただCANDLELIGHT RECORDSのコンピ「LEGION III」に1曲新作のデモが収録されている)。川嶋さんも剣に火を点けて火柱を上げるなど派手なファイアパフォーマンスをを織り交ぜながら歌をがなりたてる。そして「Me-Devil」の演奏が終わりSIGHのステージは終了。後ろのガキンチョが「サイ良かった!思ったよりクサかった」「うん、クサかったな」「すっげえクサかった!」……字面からみると貶しているようだが、これは一応褒めてるというか、かなり絶賛している様子であった。やはりブラックメタルといえどもシンフォニック系はXAMETAL系のリスナーが多いようだ。そして、セットチェンジの際、川嶋さんが床の血糊を拭き取ったり、テーブルを片付けているさまを見て後ろのガキンチョは「エライなぁ、バンドの人なのに片付けを手伝ってる」と感心していた。……ライヴハウスに出ているアマチュアや前座なんてみんなそんなもんなんです。
 サポートはSIGHだけなんだしもっと曲数やってもいいんじゃないかな、正直物足りない、もっと観たいという感じはしたが、身重であるミカンニバル博士の体調や、加入して間もない大島さんとのリハーサル期間を考えると仕方がないとも言える。当然、ミカンニバル博士はお産をしなければならないので、翌日の大阪公演を以ってライヴ活動はしばらく休むとのこと。その間に新作「GRAVEWARD」の制作作業を進めるのだろう。殆どのレコーディングは東京のスタジオで行うそうだが、ギターパートのレコーディングやミックス、マスタリングは大島さんの自宅スタジオで行なうとのことである。なにしろ大島さんはいわき在住である。SIGHの新作がいわきで作られてるなんて、なんだか胸が熱くなるな。
SIGH Live At Maryland Deathfest VII

※SIGHの2009年のライヴのプロショット映像。最近は見られない川嶋さんのライヴでのキーボード演奏が見られる他、おれの大好きな「Hail Horror Hail」やラスト2曲の「Countess Bathory」「Black Metal」というVENOMカヴァー連発でオイシイ選曲。そういえば4月にVENOM来日がキャンセルになったっけ……
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