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OZZ FESTの不幸

 最近、全然ブログを更新していないのにやたらとアクセス数が上がっている。原因は分かっている。“ももクロ”こと“ももいろクローバーZ”が、5月に開催されるOZZ FEST JAPAN 2013に出演するからである。

 昨年末、このブログでももクロをテーマに一度記事を書いたところ、一気にアクセス数が増えたことがあった。どういうからくりかは知らないが、このときに取り上げた楽曲である「黒い週末」で検索すると、何故かこのブログがトップないし相当な上位に表示されたからだ。職場のWEBサイトは様々なSEO対策をしているにも拘らず、なかなか上位に表示されることがないというのに、なんのSEO対策もしていない趣味のブログが容易に上位表示されるというのは何とも複雑な気分である。
 私生活や仕事で忙しい時期であり、ブログはほぼ放置していたため、だんだんアクセス数も下火になってきたところでももクロのOZZ FEST出演である。オジー(BLACK SABBATH)とももクロの繋がりと言えば「黒い週末」しかないわけで、再びこの曲名がホットなキーワードとなり、検索エンジンのリンクからこのブログに飛ばされて来た方が多いのだろう。

 先日、某WEBニュースサイトを運営しているメディア会社からお知らせをいただいた。なんでもそのニュースサイトの【ももクロ、ヘビメタフェス出演決定にSNSは賛否両論の嵐】という記事で当方のブログを紹介させていただいたとのことである。当該記事をみると、特に文章が引用されたとかではなく、ももクロに好意的な文章を書いているメタルブログとして挙げられ、その記事へのリンクが張ってあるというものであった。それは別にかまわないし、実に光栄なことではあるのだが、この記事を読むにつれ、どうにも違和感を覚えてしまうのである。

 まずOZZ FESTが【ヘビメタフェス】として紹介されていることについての違和感である。勿論、米国で開催されているオリジナルのOZZ FESTは紛うことなきメタルフェスであるからして、メディアとしてこのOZZ FEST JAPAN 2013もメタルフェスであると発表するのはなにも間違ってはいないし、当然のことではある。しかし、メタル愛好家にとってこのフェスがメタルフェスかと問われれば、9割以上のメタラーは「No!」と答えるであろう。ただ、その「No」があたかもももクロ1組によって齎されているかのような印象を受けてしまうのだが、それは断じて違うと言わねばならない。メタル愛好家にとってはももクロ以前に、もう既に今年の1月の段階で「これはもうオズフェストじゃない。オズフェストの名前を使った別の何かだ。百歩譲ってオズフェストであったとしても、もはやこれはメタルフェスではない」となってしまっていたのだ。

 OZZ FESTの出演ラインナップについてメタル愛好家が期待していたのは、「メタル・バンドがメインであること」は勿論だが、「LOUD PARKなどではなかなか見られないが、本場OZZ FESTでかなりの割合を占めるであろうバンド群、いわゆる〝メタルコア”のバンドが観たい」というのがあったであろう。硬派なメタルコアには根強いファン層がいる。しかし、なかなかレコードセールスに反映されることがなく、日本でそれらの来日公演を見る機会がなかなかないので、メタルコアが大挙出演しているOZZ FESTが日本で開催されるとなれば、それは当然メタルコア祭りになるのは必然、という期待を抱くのはメタルコアファンの皆様にとっては当然のことであっただろう。そしてその希望はあっけなく打ち砕かれたのであった。どこにもメタルコアバンドの名前がないのである。LAMB OF GODは去年来たばかりだから来なくても仕方ないとして……震災前にはよく来てたが最近来てないHatebreedは?もう5年くらい来日してないSHADOWS FALLは?そしてまだ見ぬDEVILDRIVERは?KILLSWICH ENGAGEは……FUJI ROCKに出んのかよう!という状態である。
 何故、1月という早い段階でこうした方々が見切りをつけてしまったのかというと、「オジーのマネジメント(すなわち、オジー夫人であるところのシャロン・オズボーン)がブッキングに関わるのは第2段発表までの出演者まで。それ以降のブッキングは全面的に日本のイベンター側で行なう」という情報が出たためである。この時点で海外のメタルコアバンドとのコネクションは最小限になってしまい、これ以降それらのバンドはブッキングされないであろうことは容易に想像できるため、このフェスに期待をかけていたメタルコアファンは悲しみの涙にくれることになったのであった。

 さて、メタルコア以外を主食とする古参のメタルファンにとっても、これは由々しき事態であったことは言うまでもない。この方たちはSLIPKNOTですら「これは〝俺のメタル”とは違う」と思っていたりする。TOOLやDEFTONESに至っては何をかいわんや状態。しかし、昨年の11月くらいまでは「でもまぁオズフェストならこのあたりのバンドが出るのは折り込み済み。TOOLやDEFTONESのときにスラッシュやサバスの場所取りが出来て却って都合がいいわい」という感覚であったのだろう。しかし、第3弾、第4弾の出演者発表に至り、〝俺のメタル”が出るのはどれくらいかというと……「えっと、お、ジャパメタのANTHEMがブッキングされたのか。あとは…あれ?LAメタルのパロディのSTEEL PANTHERが出るくらい……?〝俺のメタル”は?〝俺のメタル”はどこなんだ?」という状態に至り、既にオジーのマネジメントがブッキングに関わらないという報が入っており、終了であった。そして、デスメタルもブラックメタルもスラッシュメタルも1組も出ないという奇妙奇天烈な「自称:メタルフェス」が形成されていくのであった。

 要するに、OZZ FEST JAPAN 2013は早い段階でメタル愛好家の要望を満たすに足りうる構成ではないということが既に明らかになってしまったのである。どうもこのイベンターは海外にあまり伝手がないようで、ただでさえ洋高邦低の傾向にあるメタル愛好家にとっては痛手であったにもかかわらず、国内でもLOUDNESSを筆頭に、OUTRAGE、SABER TIGER、BLINDMAN、METAL SAFARI、SURVIVE、UNITED、NAMAZ、ZOMBIE RITUAL、SIGHなどの優れたメタルバンドをガン無視するという状態。「マキシマム・ザ・ホルモンのようなボーダーラインのバンドはいいとして、メタルとまったく関係ないNAMBA69はちょっとないんじゃないの?ハイスタ関係ならむしろメタルファンを公言してるKEN YOKOYAMAの方じゃないの?」「ラウパーで毎回我慢して温かく見守る羽目になっているDIR EN GREYやMUCCがまたここにも登場するって、なんなの?」「だったら筋肉少女帯とか、幾らでも好意的にみられるボーダーラインのバンドがあるのに、よりにもよって…というのばかり的確にブッキングするの?」などなど、ネット掲示板やSNSでメタル愛好家たちの阿鼻叫喚がこだましたのは、実はもう既に遥か昔の話なのである。
 本家のOZZ FESTがすべてメタルバンドばかりかというとそういうことはないし、少数の別ジャンルのバンドが出ることもある。日本のバンドではMAD CAPSULE MARKETSなどが出演したりしている。しかし、それはあくまでもメタルの中に別のジャンルが混じっているという構成であり、今回はどうみてもメタル以外のバンドの出演の方が多いのであった。その時点で既に多くのメタルファンにとってのOZZ FEST JAPAN 2013は終ったものとしての存在となり果てたのであった。かといって、それぞれブッキングされたほかジャンルの方々がチケットの売り上げに寄与したかというと、それはまったくなかった。メタルファンにとっても、非メタルの出演バンドのファンにとっても「中途半端なフェスだな」という印象しか与えず、チケットの売れ行きは不振だったというのが、のちの「爆弾」が投下される状況までにイベンターを追い詰めることになったのは、想像に難くない。

 そして時は流れ、開催1か月前にして、真っ先にブッキングされて然るべきと思われた人間椅子の出演が発表されたものの、今更感は否めず、HEAD PHONES PRESIDENTやGALNERYUSがひっそりと追加されているところに、今回の「爆弾」であるところの「ももクロOZZ FEST JAPAN 2013出演」というのが、ももクロの西武ドーム公演に於いて、ももクロメンバー本人達の預かり知らないところで決定されていたことが発表されたのだ。そうして、昨年末から今年初めにかけてのあまりにもメタラーの神経を逆なでしまくったブッキング故に、メタラーから総スカンを食ってチケットが余りまくった初日の1日券が瞬く間に完売したのであった。そして、数十年の時を超え、伝説のオリジナルサバス(ビル・ワードがいないので、正確にはオリジナル編成ではないのだが)の初来日公演となる2日目の公演のチケットが未だに余っているという、OZZ FESTとしては如何なもんかな、という状況になってしまったのである。

 確かに、ももクロの出演そのものに関して異を唱えているメタル愛好家はいる。それに対して「ヘビメタファンは狭量だ」という批判が為されているのは非常に不幸な事態であると言わざるを得ない。これまで書き綴ってきたとおり、メタル愛好家はあくまでも昨年末から数々の屈辱を受けてきたという積み重ねがあるのだ。それをすっ飛ばしてももクロだけのことで叩かれる羽目になったメタルというジャンルに属する人間たちはたまったものではない。
 たとえばパンクスプリングに於いて、ヘッドライナーはパンクバンドであるけれども、半分以上がパンクとは関係のないJ-POPアーティストやメタルバンドで占められたら、これに関してパンクスプリングの客層の方々は笑って許容するだろうか?それはあり得ないだろうし、それを「狭量だ」などと批判される謂われも全くないだろう。他のジャンルに於いてもそうだと思う。アイドルのイベントと銘打たれているのに、半分以上がどう見てもアイドルではない、なんかスカした感じの女性シンガーソングライターのライヴだったとしたら、アイドルファンはそれを笑って許容するだろうか?そうした状況が自分たちの愛好するジャンルに於いて起きていると考えていただきたい。メタルに於いてはそうした事態が起こっているのである。
 チケット代だって安くはない。1日券14,000円、2日通し券27,000円である。ももクロ1組のためだけに14,000円を支払ったであろうモノノフの皆様には頭が下がる思いではあるが、それはももクロがアウェイの地で戦うというドラマが出来ている、大げさにいえば聖戦みたいなものだからしてその価値は十分にあると言えよう。しかし、メタル愛好家たちにとっては、散々イベンター側に舐められた(重ねて言うが、ももクロ出演決定のはるか以前の段階で既にこうだったということを留意していただきたい)上に、モモノフにとっての悪役・仇役という立場に図らずも一方的にさせられた状態で、そのイベンターに14,000円なり27,000円なりのチケット代を支払うという屈辱を考えると、これをして「狭量」と言われるのはあまりにもむごい話だと思う。
 なにより、イベンター側がももクロを投入せざるを得ない羽目になったのは、散々メタルファンを舐め腐った真似をした結果としての売れ行き不調を補填するための苦肉の策である。まともなブッキングをしていれば、ももクロ投入などという事をする必要もなく、ももクロVSメタルという不幸な対立構造などできる由もなかったのである。
 このメタルフェスの体をなしていないOZZ FESTが、外部から見たらメタルフェスと認識されてしまっているという不幸から、メタルファンの購買力のなさを指摘されるという不幸も起こっており、まったくもってメタルファンにとっては踏んだり蹴ったりな事態になってしまった。まったくもって不幸である。SNSなどで「こんなフェスに金が払えるか、ばか!」と愚痴るメタラーの心境を、これまでの長文を我慢強く読んでいただいた方には痛いほどわかっていただけていると思う。すべてはまともなブッキングが為されなかったことが不幸の根源なのである。

 メタル界隈でこうした話はこのフェスに限ったことではない。記憶に新しい2011年のLOUD PARKもそうだった。これは今回とは逆のケースだが、メタルフェスというに相応しいラインナップではあったものの、ヘッドライナーにLIMP BIZKITをねじ込まれるという屈辱も味わっているのである。LIMP BIZKITもまぁメタルと言えばメタルなのだが、正直、一般のメタルファンにはあまり好かれておらず、それ以外のジャンルの方々に人気のあるバンドなのである。それも今は昔の話で、このバンドの全盛期は90年代後半から2000年ごろまでの話であり、今はぶっちゃけて言うと「一時代を築いたが、流行がとっくに終わった流行り物のバンド」という印象である。日本のメタルファンは流行りものが嫌いな上に、それがとっくに終わった旬の過ぎたいけすかないバンドが、よりにもよって日本最大のメタルフェスのトリを務めるとは何事かとメタルファンは大いに怒り、トリ前のWHITESNAKEが終わるとトリのステージを見ることなく大半の観客が帰ってしまい、ただでさえ広いさいたまスーパーアリーナがとてつもなく広大に感じるがらんとした空間の中でLIMP BIZKITはステージをこなさなければならない羽目になったのである。まったくもって客にとってもバンドにとっても不幸な出来事であった。LIMP BIZKITを出すなとは言わないし、単なる一出演者として出ていれば、逆に「今まで聴かず嫌いだったけど、悪くないじゃん」と評価を改めたメタルファンも出たはずである。実際、1stアルバムなどはいい出来で、おれも昔はよく聴いていたものだった。しかしよりにもよってトリでは、メタルファンの矜持は傷つけられっぱなしであるし、何よりこれ以降観るものがないので、電車があるうちにとっとと帰ってしまうのは致し方のないことである。なお、このイベントではANIMETAL USAの出演中にももクロが飛び入りしたが、特に観客から非難を受けることもなく会場は大いに盛り上がっていたとのことだ。
 何故こういったメタルファンの神経を逆撫でするブッキングが繰り返し行われるのかは謎である。2012年のLOUD PARKのように、最高とはいえないまでもメタルファンが納得するブッキングさえすれば、メタルフェスのチケットは売れるのである。にも拘らず、メタルファンの購買力に疑問を持っているのか、他ジャンルからも客を引っ張ってこようという色気を出してフェスの色にそぐわないバンドをブッキングしたものの、結局両方のファンのどちらにもチケットが売れないという事態に陥る。今回のOZZ FESTはその最たるものであったのは言うまでもない。

 それにしても、破綻寸前のフェスの売り上げを、ももクロの力で一気に完売したという事実は、おれにとってもももクロファンという立場ではちょっと誇らしかったりするのである。だからモノノフの方々にわかっていただきたいのは、メタルファンはももクロが憎いというよりも、このふざけたブッキング(何度も書いているけれど、ももクロがブッキングされるずっと以前の話)を憎んでいるのである。イベンターがそこにとどめをさすかのようにももクロを利用してきたことに、おれのようなメタルファンでもありももクロのファンでもある人間は心を痛めているのである。
 おれも昨日のDJイベントでは、ALICE COOPER、METALLICA、MEGADETH、IRON MAIDENなどの曲に交えて「黒い週末」を流したりしているし、結構好意的な反応をもらっているから、メタル愛好家でもももクロを受け入れる下地がないわけではないのである。
 しかし、今後こうしたおかしなブッキングが繰り返されないために、何よりこうした不勉強なイベンターに舐められるような真似をされないためにも、メタルファンは批判覚悟でも毅然とした態度をとる必要があることをわかっていただきたいのである。今回はそこにたまたま「ももクロ」という存在が介在してしまったために、モモノフやメタルファンが互いに不快感を覚える事態になってしまったが、実はももクロ以上にそれ以前のブッキングの時の方がメタルファンは怒りに燃えていたという事実が見過ごされているが故に、こうしたももクロとメタルが対立しているかのような、おかしな形でクローズアップされたという不幸を呼んでしまったのである。

 というわけで、おれは録りだめている「別冊ももクロChan」を鑑賞する作業に移らなければならないので、この辺で〆ることにする。ちなみに現時点でおれはOZZ FESTのチケットを購入していない。


ももいろクローバーZ 「Neo STARGATE」PV

※先日リリースされた2ndアルバム「5th DIMENSION」(勿論、発売日に買ったさ。ちなみにトレーディングカードはれにちゃんでした)からのリーダートラック。まさかOZZ FEST出演を見込んで、このようなカルミナ・ブラーナ(オジーがライヴ開始のSEで毎回使用する曲)をモチーフにした楽曲を作ったのではあるまいな?
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