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祝・電人ザボーガー映画化!ピープロについて

 仕事も終わり、CSで「ミナミの帝王」でも観るかとテレビをつけると、既に終わってテレビショッピングが流されていた。そのままチャンネルを変えることなく遅い夕飯を貪っていると、テレビから突然「デンジンザボーガー!ゴウ!」と上ずった声が聴こえてきた。なんだなんだ、とテレビに目を向けると、板尾創路が昭和の特撮番組「電人ザボーガー」のバイクに乗っている姿が。何かのコントかと思ったが、どうやら映画の予告編らしい。今度はザボーガーが映画化されるのか・・・ちょっと複雑な気持ちになった。
「電人ザボーガー」特報


 特撮ファンの間ではともすれば隠れた名作のような扱いを受けているザボーガーではあるが、なんつーか、いろいろ突っ込みどころが多い。詳細はようつべに投稿されているザボーガーについて散々突っ込みを入れてある「スーパージョッキー」の映像を見てくれればよろしい。リアルタイムで俺もこれを観ていた。勿論ザボーガーではなく、スーパージョッキーの方である。この司会のお姉ちゃんが現在大臣になっているというのだから、そら何が起きてもおかしくないわ、と思ってしまう。それにしても、ちょっと前に「ガガ様のジャケットがバイクメ~ンみたいだ」と書いたが、電人ザボーガーにも見えると改めて思った。
bornthiswayalbum.jpg zaboger.jpg

 スーパージョッキーで散々突っ込まれていたザボーガーであるが、だいたい、この作品を作っていたピープロことピー・プロダクション自体が突っ込みどころが多く、その独創的な感性でウルトラマンの円谷、ゴジラの東宝、戦隊モノ・仮面ライダーの東映の三強の一角に潜り込んだパンク魂溢れる映像プロダクションなのである。最初こそ潤沢な資金を得られたこともあって、手塚治虫原作の「マグマ大使」を実写化、正統派特撮番組の名作を作りあげたが、その後に「怪獣王子」の大失敗と、労働争議による社内の混乱を経た後にラインナップされる作品は、スーパージョッキーでの映像を見ればわかるとおり、低予算であるが故の工夫がそこいらじゅうに凝らされているDIY精神に溢れるハードコアな特撮作品に仕上がっている。

 ピープロの代表者である「うしおそうじ」(故人)であるが、この人の都市伝説といえば自社作品のビデオ販売に関するネタである。ピープロ作品は最近でこそDVDソフトが容易に手に入るようになったが、以前はVHSなどの商品が一般店舗に出回っておらず、ピープロに直接行って売ってもらうしかなかった。そのシステムはというと、ピープロに行くと、1人のオジサンが対応してくれるのだが、これが実はうしお氏本人だったりするのである。うしお氏に「風雲ライオン丸のビデオを売って欲しい」旨を伝えると、「それでは今準備するから、2時間後にまたここに来てください」と言われる。そしてピープロを出て2時間ほっつき歩いて、ピープロに戻ると1本のVHSテープを手渡される。勿論作品のパッケージなどなく、市販のVHSテープの箱に入っていて、うしお氏本人の手書きと思われるラベルがテープの背に貼ってあるのだ。そう、注文を受けてから120分テープにダビングしていたのである。今で言うところのビデオ・オン・デマンド方式を先取りしていたのだ。・・・以上のエピソードは現在ダイエット評論家になったオタク漫談師のO氏がまだ丸々と肥えていた頃に話していたことで、話が当時のO氏の体型の如く過剰に膨らんでいるのだが(実際は通販向けにビデオソフトを作っていた。そのために経営していたビデオショップの店番をうしお氏がしていたのは事実らしい)、それが真実であると思わせるような雰囲気をピープロは持っていたのである。

 さて、ザボーガー劇場版である。近年、昭和の漫画アニメ特撮作品を実写映画でリメイクすることが多いが、だいたい、タイトルを英字表記に直した作品はダメである。「SPACE BATTLESHIP YAMATO」だの「CASSHERN」だの、旧作品のタイトルをいちいち英字表記にしてるというセンスの時点で、もうだめだ、と白状しているようなものである。「RED SHADOW~赤影」なんてのは、「同じ意味じゃねえか!どっちかにしろよ、ばか」と思わず罵りたくなってしまいそうな衝動に襲われる。こんなことやって許されるのは「WHY~何故に~」と歌う矢沢のエーちゃんだけ。漫画や特撮ではないが、黒沢明の「羅生門」のリメイクの「TAJOMARU」なんかもうね・・・こういう事を日本ではポップカルチャーの先端にいる人みたいなのがやってるというだけで情けないのである。「日本語より英語の方が若い人にアピールできるよね」と目論む田舎のオッサンが自分の店に名前をつけるときの感覚と何らかわらんではないかと。いや、「DEATH NOTE」みたいに外国語やそれ相当のタイトルを英字表記するのは全然構わないんだが、「古いものを新しく作り変えたんで、新しさを強調するために英字表記に変えましょう」っていう感覚自体がアホっぽい。「宇宙戦艦ヤマト」をそのまま英訳して「SPACE BATTLESHIP YAMATO」にするって、アホ丸出しもいいところである。「いや、これは今後の海外への展開を見越してやったことでね・・・」と言われるかもしれないが、全米のビデオチャートで1位を獲得した「GHOST IN THE SHELL~攻殻機動隊」に関しては、アメリカのファンが一番ガッカリした点が、「マトリックス」でも大々的にパクられたあのかっこいいオープニングなんだが、そこで表示されるタイトルが漢字表記じゃなかったこと、だったのである。ということは、海外で勝負するには日本語表記の方が強いのである。そういえば、かのダメダメリメイク作品の金字塔「DEVILMAN」も御多聞に漏れず英字表記であった。尚、比較的まともな実写リメイクであった「ヤッターマン」はカタカナ表記である。ザボーガーは特報を見る限りでは日本語表記だし、公式サイトは英文表示なものの、「電人」を「ELECTRIC MAN」とか直訳していないので多分大丈夫だろう。勿論、英字表記じゃないからいい出来とは限らない。「忍者ハットリくん」という例もある。油断はできない。
「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」OP


 ザボーガーの劇場版は秋に公開ということなので、内容については触れようがない。そうすると、ピープロのほかの作品に触れるしかあるまい。ピープロといえば、おれが個人的に真っ先に思い浮かぶのが「鉄人タイガーセブン」である。ネームヴァリューでは「怪傑ライオン丸」の方が上だが、鉄人タイガーセブンは、変身ヒーローモノのタブーに果敢に挑戦した作品として、特撮史上に残る名作となった。もともとやたらにリアルで生臭い演出で子ども心をキャッチすることに失敗し、1年間の放送予定が半年で打ち切られることになった作品であったが、それで開き直ってしまったのかどうかはわからないが、変身シーンに於いて、変身行動中に誤って子どもを轢いてしまうシーンがあるのだ。変身シーンは絶対不可侵領域であるという変身ヒーローモノの禁を破る作品がなかったわけではないが、ここまでショッキングなものはこの作品しかないであろう。
鉄人タイガーセブン-変身行動中に子どもを轢いてしまうシーン


 ピープロ最大のヒット作が「スペクトルマン」である。最初は「宇宙猿人ゴリ」というタイトルであった。敵方の宇宙人の名前が番組名だったのである。非常に大胆な試みであったが、放映期間中に「宇宙猿人ゴリvsスペクトルマン」に変更され、最終的にはシンプルに「スペクトルマン」となった。ゴリは科学者で非常に知的な宇宙人で、それがお供につれている如何にも肉体労働をさせられていそうな宇宙人の名前は「ラー」。「ゴリ」と「ラー」。敵方の名前を番組名にするチャレンジ精神とは相反するような安直なネーミングである。ゴリは宇宙を放浪した末に地球を発見し、地球を自分が支配するに相応しい美しい星だと喜ぶ一方、自分がする予定の地球が公害によって汚されていることに怒り、公害で汚された環境から怪獣を作り出して地球人を痛い目に遭わせてやろうということになった訳である。ゴリの個人的な野望は悪玉のそれではあるが、自分の一方的な都合とはいえ、視聴者に公害問題はここまで恐ろしいものだと警告する立場でもあるという、何とも凝りに凝った設定であるために敵方である「宇宙猿人ゴリ」が番組タイトルとなったのであろう。主人公の所属している組織も「公害Gメン」という公害問題に取り組む国家機関であり、公害を憎む心はゴリと似ているが、手段や目的に於いて決定的な差があるという、子ども番組ながら複雑な構造になっているハードSF的な番組であったのだった。
「宇宙猿人ゴリ」-ゴリの地球征服の理由&エンディングテーマ

※脱獄して勝手に逃げたのに「惑星Eから追放された~」という歌詞なのは個人的に昔から納得いっていない

 しかし、公害問題を突っつくと、工業製品などを作っているスポンサーの覚えが悪くなり、結局公害Gメンがいつの間にか怪獣Gメンとなり、番組名も「宇宙猿人ゴリvsスペクトルマン」という怪獣とヒーローの対決色を打ち出したものとなった。しかし、教育問題を取り入れるなど社会風刺の作風は捨てきらず、低予算ながらもこのようなハードSF的作風に当時の子供達は熱狂し、遂には裏番組の「巨人の星」を視聴率で逆転し、同時間帯の視聴率トップになるまでになったのだった白痴の青年が外科手術によって頭脳明晰となり、それと引き換えに凶暴化し怪獣となる「天才怪獣ノーマン」のエピソードなどは、SFの名著「アルジャーノンに花束を」をモチーフとしていることがわかることからも、SFファンから高い評価をされている。ただ、白痴の青年に向かってやたら「ばか」という言葉を浴びせる演出から、現在地上波での再放送は難しい。(CSでは放送された)

 このスペクトルマンを愛してやまないミュージシャンが、かのグラインドコアの始祖NAPALM DEATHの初期に在籍し、最近解散を発表したドゥームメタルの大御所CATHEDRALのヴォーカリスト、リー・ドリアンである。90年代、CATHEDRALで来日した時に、宇宙猿人ゴリのフィギュアを探し回ったが見つけられずに失意のまま帰国している。ポリティカルでヴェジタリアンの彼はゴリの公害を憎む心にシンパシーを抱き、「ゴリは最高にクールだ」とインタビューで答えていた彼が少年時代に日本の特撮に興味を持ったことで、日本のアンダーグラウンドカルチャーを研究し、そこでG.I.S.MやSxOxBを発見して、そのヴォーカルスタイルやノイズを取り入れることでグラインドコア/デスメタルのスタイルの基礎が完成されたことを考えると、スペクトルマンがなければ、現在のエクストリームミュージックの姿が変っていたのかもしれないのである。・・・こじつけすぎだな、どう考えても。でもまぁ、可能性は0ではないということで。
Napalm Death 「From Enslavement To Obliteration」BBC放送映像

※有名なのはこっちなんだろうけど・・・

CATHEDRAL「Ebony Tears」PV

※激速のNAPALM DEATHとは真逆の激遅っぷり

 電人ザボーガー劇場版は主要キャストは公表されているが、スタッフに関しては井口昇が監督であることぐらいしかわからない。音楽の担当が誰だかが気になるのだが、ぜひともここは「新世紀エヴァンゲリオン」などを手がけた鷺巣詩郎氏であって欲しいと思う。エヴァという作品は好きだけど、エヴァの音楽には特に思いいれはない。しかしなぜ鷺巣氏であって欲しいかというと、うしおそうじの本名は鷺巣富雄。そう、鷺巣詩郎はうしおそうじの実子なのである。父親が残したザボーガーを新しいものとして再生するのに、是非息子の彼が関わって欲しいというだけの理由である。もっとも、ここまで散々書いておいてなんだが、別に観に行く気はそれほどあるわけではなかったり・・・・・・・・・

THE END OF EVANGELION 第弐25話「air」エンディング

※エヴァの歌モノではこの曲「Thanatos」一択。劇伴では9話のユニゾンのときのピアノ曲か。
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