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年末の第九

 今回も親切な人から「今日も1日ハードロック/ヘビーメタル三昧 3」の録音をいただけた。ありがたいことである。
 まだ暇がなく、はじめの1割ほどしか聴いてないが、1曲目のRAINBOW「Stargazer」はオープニングのジングルではなく、フルバージョンでかかっていた。パート2で流れたんだから別の曲でいいじゃん、とも思うが、ロニー・ジェイムズ・ディオが亡くなった年ということもあり、ロニーファンから人気が高く、実際に多くのリクエストがあったようでこの曲を1曲目に持ってきたのは道理でもあったのかな、と思う。
 では、オープニングのジングルで流れた曲はというと、やはりRAINBOWの曲で「Defficult to Cure」であった。よく「日本でしかRAINBOWは人気がない」と若いメタルファンや、メタル嫌いのロックファンから揶揄されることが多いが、アメリカで評価されなかったバンドを評価したことに価値があるという側面もあるし、それにヨーロッパでは普通に人気のあるバンドなので、その辺は雑音としてスルーしておくとしても、ここまでRAINBOWが前面に出されるとさすがに意外に思ってしまう。
 とはいえ、年末にNHKで放送された番組だからこそ、オープニングに「Difficult to Cure」を持ってきたことはわからなくもない。この曲は御存知の通りベートーヴェンの交響曲第9番の第4楽章をアレンジした曲である。日本独自の文化的風習の一つとして「年末に第九の演奏会を開く」というものがあるが、由来がNHK交響楽団の前身である日本交響楽団に於いて、団員が安心して年末が越えられるように、客入りのいい第九の演奏会を開くことで団員の年越し費用を稼ぐ事から始まったという説がある。また、それに先駆けて1940年の大晦日に紀元2600年記念行事の一環としてNHKラジオで第九を演奏したという例もあったそうだ。てなわけで、この選曲もまた納得のいくものであったというわけである。
RAINBOW「Difficult To Cure」'84年武道館公演

 
 第九といえば必聴盤されるのが1951年のバイロイト音楽祭でフルトヴェングラー指揮によるバイロイト祝祭管弦楽団演奏のものである。様々なバージョンが出ているがおれが持っているのはクラシックマニアにはすこぶる評判の悪い「擬似ステレオ盤」と呼ばれるCDである。もともとの録音がモノラル(録音当時はステレオ自体がない)の音源ソースに擬似的にステレオ処理を施したものである。友人に「それはインチキな代物だ」などと言われようと「蓄音機でSP盤かけるんじゃねえんだから」とこの盤を聴いてきた。だいたい友人の持っているモノラル盤は録音状態のよいものではなく聴けたもんじゃなかった。勿論、マスターの録音状態がよいものじゃないので擬似ステレオ盤も高音質というわけではないが、モノラル盤よりははるかにましな音におれは聴こえていたのである。(これは15年位前のことで、現在はモノラルでも音質が向上したものが出ているそうである)
 しかも、その元の録音自体が、バイロイト音楽祭で演奏された録音をそのまま使っているものではなかったらしい。英国EMIがフルトヴェングラーに事前に録音を持ちかけたものの、実際に録音してみたらプロデューサーのウォルター・レッグ曰く「悪くはないけど、期待していたほどいい演奏ではなかった」ということで、ゲネプロ(リハーサル)で録音した音源を継ぎ接ぎし、また、第4楽章の合唱部分(休止部分の前の「vor Gott」という歌詞の部分)で意図的に音量を上げる等の編集を行い「稀代の名演を収録した名盤」を作りあげたというのである。だったら後からステレオ処理を施したくらい別にいいだろ、ということで安心して擬似ステレオ盤の第九を聴いていられるのであった。確かにあのいじくられた合唱の部分は最初に聴いた時に結構グッとくるものがあったと思う。
 また、最近はEMIが録音したものではなく、バイエルンラジオ放送局が録音した(EMIが録音してラジオ局に貸与したという説もある)「音楽祭当日100%本番の録音」のものと“される”音源も商品化されているようである。
 どうにもクラヲタの間では「名演だ」「凡庸極まりない演奏だ」との毀誉褒貶の激しいこの録音であるが、大戦中に第三帝国支配のドイツで苦汁をなめた(ヒトラーと握手した写真が第三帝国のプロパガンダで使われ、NSDAP活動に加担していなかったにも拘らず、世界中の演奏会から締め出されてしまった)フルトヴェングラーが、戦後初のバイロイト音楽祭でコンタクトを振るという歴史的な意義が名演という権威付けに加味されてしまっているのかもしれない。そのあたりを評価することは勿論、特に楽譜の読めないおれにとってはどういう演奏が「正しい」のかはよくわからない。でも、この擬似ステレオ盤で「この曲の第3楽章って結構いいもんだったんだな」という感想が得られただけでも、おれ個人にとっては意義深いことだったのだと思う。

 最後にNSDAPが録画編集し、彼らのプロパガンダに利用したであろうフルトヴェングラーが指揮する演奏会の映像を紹介する。
「ワグナー楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』序曲」1942年フルトヴェングラー指揮


「ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章(終盤部分)」1942年フルトヴェングラー指揮


 下の方の映像の1分30秒くらいのところに、これらの映像を使って宣伝活動を展開した張本人が映っている…
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