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You know LEMMY 's born to lose, and he didn't wanna live for ever.

「Hello! We are MOTORHEAD. We play rock n' roll !」
 ステージ上のレミーがぶっきらぼうに言うと、おもむろに強烈に歪んだベースの音で「Iron Fist」を弾きだす。あとはもうあっという間の60分。ぎゅうぎゅう詰めのアリーナの中のエントロピーは増大しっぱなしで混沌の度合いを増していく。幾人の肩や肘がおれの体のそこかしこに食い込んでいき、何人ものクラウドサーファーに頭を蹴られまくる。それなのに全く不快感がないのは目の前でモーターヘッドが、そしてその権化であるレミーが極上のロックンロールを奏で、そしてがなりたてているからだ。
MOTORHEAD 「Iron Fist」


 2010年10月、さいたまスーパーアリーナで開催されたラウドパーク2日目の開演前、物販の列に並んでいたおれのお目当てのグッズはMOTORHEADのTシャツ。ロゴとSnaggletoothがプリントされたTシャツが完売したのはおれがまだ列に並んでいる最中のときであり、最後の1枚であろう壁に吊るされていた展示見本が取り去られる。「あちゃー」と思ったが、なんとかロゴと「The World Is Yours」の文字、そして鉄十字章と短剣の上にSnaggletoothがプリントされたTシャツをなんとか購入することができた。欲しかったSサイズは売り切れていたのでMサイズのものであったが。前日に購入したSPIRITUAL BEGGARSのTシャツを着て参戦したその日、SPIRITUAL BEGGARSのステージをアリーナで観たあと、友人のいるスタンド席へ行き、預かってもらった荷物から先刻購入したMOTORHEADのTシャツを取り出してそれに着替え、またアリーナに戻り、隣のステージで奮戦するANGRAのステージを見ながらMOTORHEADの登場を待った。ステージの上に独特の刻印が施されたマーシャルの三段積みのベースアンプが見えると、厭が応にも期待感が高まる。そしてテンガロンハットを被ってリッケンバッカーのベースをぶら下げたレミーが姿を表すと、会場全体から歓声が沸き上がったのだった……
 ライヴの終盤、問答無用の名曲「Ace Of Spades」が演奏されるとただでさえ高まりきっていた会場のヴォルテージが限界突破。おれは曲中少ない酸素を奪うために顔を真上に上げながら「The Ace Of Spades ! The Ace Of Spades !」と叫び、ブレイク部での「You know I'm born to lose, and gambling's for fools, But that's the way I like it baby, I don't wanna live for ever ……And don't forget the joker!」の部分を息を切らしながらあらん限りの声を振り絞った。この曲が終わったあと、アリーナから「オーバーキル!オーバーキル!」の大コールが起こり、レミーが険しい表情から一転して笑顔を見せると、また真顔に戻る。その途端ミッキー・ディーがドラムを連打しラストの「Overkill」に雪崩れ込む。この畳み掛けはまさにOverkill(過剰殺戮)そのもの。終盤のソロで演奏を止め、レミーが人差し指を立てながら会場を見回し我々を焦らしまくる。そして再び演奏が再開され会場の熱狂が青天井となったところでこの嵐のようなステージが終了した。これがおれにとって最初で最後のMOTORHEADのライヴ体験だった。
 この日のトリを務めたオジー・オズボーンがアンコールで歌って会場中を涙で包んだ名バラード「Mama I'm Coming Home」はオジーとレミーの共作曲だったことも付記しておく。
MOTORHEAD 「Ace Of Spades」


MOTORHEAD 「Overkill」


OZZY OSBOURNE 「Mama, I'm Coming Home」

※オジーの第1回引退作「NO MORE TEARS」ではこの曲の他、「I Don't Want To Change The World」「Desire」「Hellraiser」の4曲をレミーが共作している。そのうち「Hellraiser」はMOTORHEADでセルフカヴァーもしている。

 2015年11月。先月のことだが、「MOTORHEAD」「OVERKILL」「BOMBMER」「ACE OF SPADES」「IRON FIST」などなど、初期の名作アルバムで活躍したMOTORHEADの歴代のドラマーで最も印象が深いであろうフィルシー・“アニマル”・テイラーが亡くなった。その死を悼んだアイアンフィスト辰嶋さんのたっての希望で半田商会が今年12月23日開催のBLACK XMASに於いてフィルをフィーチュアしたパーカーを作成した。おれは今年は出演しなかったものの、イベントを観に行って、会場に到着したと同時に辰嶋さんと半田さんがいる物販スペースに向かい、パーカーをゲットした。この日のDIE YOU BATARD!の最後のナンバーは勿論「Iron Fist」のフルブラストヴァージョン。その翌日の12月24日クリスマス・イヴがレミーの70歳の誕生日だった。
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※DYB!謹製フィル追悼パーカーと、フィルを悼むMCをする辰嶋さん
 
 昨夜行われた平ハウスの忘年会的な飲み会におれはラウパーで購入したMOTORHEADのTシャツ(その下にはレミーがローディをしていたというジミヘンがプリントされたバートンの防寒ロンTを着用)と、BLACK XMASでゲットしたフィルのパーカーを着て、まさにモーターヘッド全開の恰好で参加していたのだが、まさかこの時レミーが往生際にあるとは思いもしなかった。そして先ほど彼の訃報を目にした。なんでも、テレビゲームで遊んでいる最中に息絶えたとのことであり、なんともレミーらしい一筋縄ではいかない死に様であったが、フィルが亡くなってまだ1ヶ月しか経っていないのに、まさかその後を追うようにレミーまで逝ってしまうとは……
MOTORHEAD 「Bomber」


 以前も書いたが、震災の日に届いた「極悪レミー」のDVD、震災の日から数日に渡る停電から復旧した時に真っ先にやったことがこのDVDの鑑賞だった。糖尿病を患いながらも“コーラのジャックダニエル割”(ジャックダニエルのコーラ割ではない)を流し込んでいたレミー。「あんな生活をしているのに、長生きできる秘訣はなんですか?」との問に「死なないことだ」と答えたシーンが、余震が間断なく続き原発事故の不安に苛まれる中にあってどれだけ心の支えになったことか。そんなレミーも今年になって健康不安が一段と悪化しているニュースはよく聞かれた。ライヴでのスピードナンバーの割合を大幅に減らしたこと、標高の高い会場では体力が持たないということでライヴをキャンセルしたことなど。その一方、フジロックに出演するために来日して、真っ昼間からテンガロンハット姿で上野の飲み屋で杯を傾けている写真などを撮ったりしていて、「それなりに元気」な印象を我々に与えていたレミー。彼が70年も生きながらえて生涯現役で在り続けたこと自体が本当に奇跡のようなライフスタイルだったので、いつ死んでもおかしくないと思う一方、いつまでも死なずに生き続けるんじゃないか?という幻想さえ抱かせ続けたロックンロールのアイコンであったレミー・キルミスター。ロックンロールが存在する限り、彼の存在は永遠不倒であり続けるに違いない。そして今日は世界中でジャック・ダニエルの瓶が史上最も多く空になる日であろうことも確定的に明らかである。おれも今日の仕事が終わったらジャックダニエルとコーラを買いに行って「極悪レミー」を観ながら献杯することにしよう。
MOTORHEAD 「Motorhead」

※バンド名を冠したこの曲は元はレミーが所属していたサイケデリック・ロックバンドHAWKWINDに於けるレミー作の同名曲のセルフカヴァー。
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